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アジア新興国の活動家がJERAに変化球を投球

19 May 2023

今週行われた、プロ野球セントラル・リーグの試合会場にて、バングラデシュ、インドネシア、フィリピンの活動家たちが、セ・リーグのタイトルスポンサーでもあるJERAが、大規模な汚染を引き起こし、化石燃料ベースの汚染技術をアジア中に広めていると訴えました。

JERA、およびJERAの株主である東京電力、中部電力、さらにこの3社への投資家は、現地コミュニティの反対を受けて、自社の評判が低下するリスクについて留意する必要があります。

球場内でのアクションの様子
球場前でのアクションの様子

3万人が参加した野球の試合へ駆けつけた活動家たちは、JERAに化石燃料の拡大を止めるよう求めました。 

JERAのセントラル・リーグのスポンサー契約は、健全で家族に優しい企業イメージ作りの試みのようですが、JERAが、日本の年間炭素排出量の15%に相当にものぼる量を排出し、汚染をもたらす化石燃料ガス(LNG)をアジア中に拡大していることは一般には知られていません。JERAは、バングラデシュとベトナムのみでも11.6ギガワットにのぼる、ガスの輸入を前提とした新規のガス発電所を計画しています。また、石炭と化石ガスから生成されるアンモニアを混焼させる技術によって、日本やインドネシアにて、石炭発電所をできるだけ長く稼働させたいと考えています。

この試合を観戦した活動家たちは、自国で化石燃料の価格高騰がもたらす深刻な事態を経験しています。そして、JERAは、エネルギーを安定的に確保する機会を奪うような事業開発を進めています。 また、活動家たちは、化石燃料関連インフラ建設や気候変動により、家を追われ、土地を汚染され、生活を破壊された地域住民とともに活動しています。

野球観戦を終えた活動家の声を紹介します:

WAHLI( インドネシア)、ドゥウィ・サウンさんのビデオメッセージ

サウンさんは、JERAが出資している建設中の石炭発電所に関して、インドネシア・チレボンの農村のコミュニティと長年にわたって協働しています。この発電所建設によって土地を奪われた人々は、この土地に石炭発電所を望んでいません。最近、インドネシアで汚職事件を扱う政府機関(KPK)は、チレボン石炭発電所に関連する事件を含む一連の贈収賄とマネーロンダリングに関連して、チレボンの前県知事を起訴しました。JERAは、汚職や賄賂だけでなく、人権上の懸念があるにもかかわらず、この発電所に参画し続けています。

CLEAN バングラデシュ、ブリスティ・サーミンさんのビデオメッセージ

バングラデシュ出身のブリスティは、JERAに対し、バングラデシュにおける汚染をもたらすガス事業計画を中止し、代わりにクリーンで再生可能なエネルギーの未来を支援するよう呼びかけています。JERAは、バングラデシュ沿岸部に2.4ギガワットの輸入LNGを用いたガス発電所を新たに建設することを提案しており、またバングラデシュの大手ガス会社サミットパワーに22%出資しています。これらの事業計画は、バングラデシュが輸入ガスに依存し続けることを意味し、バングラデシュのエネルギーの安定確保を脅かすものです。

CEED (フィリピン)、ジェリー・アランセスさんのビデオメッセージ

JERAは、東南アジアでのクリーンな移行を遅らせようとしています。JERAは、フィリピンの大手電力会社AboitizPower Corporationの主要株主で、Aboitizには石炭発電所を再生可能エネルギーに移行する計画があります。しかし、JERAはAboitizの石炭発電所でアンモニアとの混焼を推進しています。つまり、これらの石炭発電所が延命され、有害物質の排出や公害が長引くことになるのです。Aboitizはまた、セブ州で 150MWのLNG発電所を計画しています。

JERA、東京電力、中部電力およびこの3社への投資家は、これらの化石燃料インフラ開発を通して自社の評判を落としています。JERA、東京電力、中部電力が追求しているLNG偏重の道は、評判へのダメージに加えて、財務リスクでもあります。東京電力と中部電力の移行計画に関する更なる情報開示を求める株主提案について、Asia Shareholder Actionの詳細情報をご覧ください。

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