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This report has been replaced with an updated version. See the new Banking Climate Failure report here.

ブンアン2石炭火力事業 に融資しないで!

この石炭火力発電所に投融資することによって
財務リスク、評判リスクが生じます。

場所: ベトナム中部ハティン省に建設予定

事業規模: 600MW x 2期  超々臨界圧

総事業費: 22億ドル(約2500億円)

建設開始予定 :2020年

稼働予定:2024年

Delivery of collective letter urging JBIC not to fund Vung Ang 2

ベトナム・ブンアン2石炭火力発電事業

事業のスポンサー(出資)
  • One Energy Limited 三菱商事の100%子会社であるDiamond Generating Asia Limited(DGA社)と香港の電力会社CLP Holdings Limited(CLP社) が共同で設立した。(DGA社、CLP社がそれぞれ50%出資)
  • SPV: Vung Ang 2 Thermal Power Joint Stock Company (VAPCO)
アドバイザー

財務・金融:三井住友銀行

法務:Allens Arthur Robinson

技術:Poyry

設計、調達、建設請負い
融資検討中の銀行
  • 国際協力銀行 (JBIC)
  • 三菱UFJファイナンシャルグループ (MUFG)
  • 三井住友ファイナンシャルグループ(SMFG)
  • みずほファイナンシャルグループ
  • 三井住友信託銀行 (SMTB)

問題1:環境、人権問題

生計や健康への累積的な影響

ブンアン2石炭火力発電所は、フォルモサ・ハティン・スチール(FHS)の製鉄工場に隣接した場所に建設される予定です。この工場はベトナム史上最悪の環境災害、海洋汚染、そして魚の大量死を引き起こしたとことで知られています。このため、多数の漁民の生計手段が奪われ、2019に7875人が損害賠償を求めFHSの本拠地、台湾で集団訴訟を起こしています。

その上、ブンアン2石炭火力発電所は、大気汚染物質の排出が懸念されているブンアン1石炭火力発電所にも隣接しています。稼働中のブンアン1発電所から排出される石炭灰による近隣住宅地や農地への被害、および大気汚染が問題となっています。また、地域の診療所や住民たちは、ブンアン1石炭火力発電所が設立されてからその近隣地域で、心臓病、脳卒中、肺病、皮膚病や癌が増加していると話しています。

(ブンアン1石炭火力発電所は2011年にJBIC、三菱UFJ銀行、三井住友銀行から融資[m1] を受けています。)

Photo credit: Le Quynh; Vung Ang 1 coal power station

問題2:適切な住民協議が行われていない

2011年1月の環境アセスメントは国際金融公社(IFC)のパフォーマンス・スタンダードやOECD多国籍企業行動指針といった国際標準を満たしていません。

  •   環境アセスメントの観点からは適切な住民協議が行われたとは言えません。協議には政府関係者のみが招待されました。実際、事業の影響を受ける住民は事業に関する知識や水利用、交通の必要性に関する質問をされただけで、協議で意見を述べる機会は与えられていません。
  •   コミュニティーが事業に対する判断が可能となるような詳細な情報を提供された記録は環境アセスメントに示されていません。

2018年に再び環境アセスメントが行われていますが、公開されていないため、住民協議が行われたかは明確ではありません。

問題2:適切な住民協議が行われていない

ブンアン2石炭火力発電所は再生可能エネルギー(太陽光や風力)が石炭火力より徐々に安価になっている時期に新設される計画です。2019年にイギリスの金融系シンクタンクのカーボン・トラッカーが出版したレポートは、ベトナムにおいては、2020年には、新規石炭火力発電より新規太陽光発電(PV)への投資が安くなると報告しています。また、2021年には新規石炭火力発電より新規陸用風力発電への投資の方が安くなると想定しています。従って、ブンアン2石炭火力発電所は資産価値が下がるリスクのある投資です

銀行はなぜブンアン2化石火力発電所への投融資を行うべきではないか

ブンアン2石炭火力発電所に投融資することによって財務リスク、評判リスクが生じます。これは銀行にとって明らかにマイナスです。

その上、2019年9月に三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行は国連の「責任銀行原則」(PRB:Principles for Responsible Banking)に署名しました。責任銀行原則の1項目の内容はパリ協定と国連の持続可能な開発目標(SDGs)を企業のビジネス戦略との整合性を取ることです。パリ協定の目標は平均気温を産業革命前に比べて2℃を十分下回るよう抑えること、また、1.5℃に抑えるする努力をすることです。パリ協定の目標を達成するためには化石燃料プロジェクトの新設・拡大の余地はありません。ブンアン2石炭火力発電所の新設はパリ協定達成に反する建設であり、この事業への融資は責任銀行原則を破ることになります。

References

  1. Minerva Lau, Project Finance International, (11 September 2019), ‘ Banks restart talks on Vapco 2’
  2. Minerva Lau, Project Finance International, (29 March 2019), ‘Vung Ang 2 CFPP to go ultrasupercritical’
  3. Minerva Lau, Project Finance International, (15 August 2018), ‘OneEnergy appoints Vapco adviser’
  4. Mia Tahara-Stubbs, IJGlobal (23 January 2017), ‘Banks mandated on Vietnam Vung Ang 2 coal-fired’
  5. Global Data Point (20 January 2017), ‘Vietnam’s MOIT Investment Agreement signed BOT project in Vung Ang Thermal Power Plant 2’
  6. Vietnam Plus (17 January 2017), ‘Vung Ang II thermal power plant BOT project agreement clinched’
  7. Climate Policy Initiative (2016), ‘Slowing Down the Growth of Coal Power outside of China’
  8. BMI Research (2016), ‘Vietnam Power Report – 2016 Q4’
Information updated: 20 January 2020

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