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JERA
日本最大の化石燃料発電会社は再生可能エネルギーの大きなチャンスを逃している
日本最大の発電会社であるJERAは、自らが主張する通り再生可能エネルギー会社になれる可能性がある。
- JERAは、世界における発電設備容量の97%と国内事業のほぼ全てを化石燃料が占め、再生可能エネルギーの割合は2023年度時点で世界全体ではわずか3%、日本国内では0.2%にとどまっている(JERAグループ統合報告書2024, p.94-95; https://www.marketforces.org.au/campaigns/asia/japan-trading-houses-report-2025)
- アジアでは再生可能エネルギーの需要が大幅に増加する見込みである。エネルギー分野のシンクタンク「エンバー(Ember)」は、東南アジア諸国連合(ASEAN)のエネルギー需要が2023年比で41%増加すると予測した。国際エネルギー機関(IEA)は、東南アジアにおけるクリーンエネルギーへの投資を2030年までに4倍の1,300億米ドルに増やす必要があると推計している。
- JERAは、排出削減戦略としてアンモニアや水素の混焼を推進しているが、混焼は炭素排出量を削減する可能性が低いと報告されているため、アジアの脱炭素化には寄与しないだろう(Transition Zero, 2022)。
- JERAには、アジアにおける再生可能エネルギー拡大を牽引する力があるが、現在のところ同社は液化天然ガス(LNG)の拡大を優先しており、LNG取扱規模は年間約3,600万トン超に上る(JERAグループ統合報告書2024, p.3)。(この量の炭素を閉じ込めるには、10年間にわたって毎年25億3,482万8,681本の木、面積にして野球場3万3,000個分の森林を育てる必要がある。EPA参照)
JERAは、世界で最も急成長しているエネルギー市場の一つにおいて、利益を上げるチャンスを逃している。
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JERAとは?
JERAは、世界で事業を展開する日本の発電会社である。
JERAは日本最大の発電会社で、その発電資産は日本全体の約30%の電力を供給している。同社は、東京電力と中部電力が50%ずつ出資するジョイントベンチャーである。また、世界的にも有数の発電会社(英国、インド、中東、台湾、ベトナム、バングラデシュ、インドネシア、タイ、フィリピンで事業を展開)で、世界最大級のLNG取扱量を誇る(世界全体のLNGの10%、JERAグループ統合報告書2024, p.33)。
JERAは実際にどのくらい再生可能エネルギーによる発電に貢献しているか?
JERAの世界全体の発電設備容量のうち、再生可能エネルギーの割合は2023年度時点でわずか3%である(公開されている最新データ。2025年の投資家向けの報告書/プレゼンテーションでも同様の数値が示されている)。
JERAは、再生可能エネルギー発電容量を2025年度末までに5GW(ギガワット)、2035年までに20GWとする目標を設定している。
JERAの日本国内の事業では、再生可能エネルギーの割合は発電容量のわずか0.2%にとどまっている。
国際プロジェクトの発電容量のうち、再生可能エネルギーの割合は最大でも30%程度を占めるに過ぎず、依然として化石燃料が70%程度を占めている。
JERAは、自社が掲げる再生可能エネルギー拡大に向けたコミットメント達成のため、再生可能エネルギープロジェクトへの投資を増やす必要がある。
JERAのカーボンフットプリントは?(どれだけのCO2を排出しているか?)
JERAのCO2排出量は、LNGトレーディング事業と発電事業に由来する
LNG取扱量:JERAのLNG取扱規模は年間約3,600万トン超である(JERAグループ統合報告書2024, p.3)。(この量の炭素を閉じ込めるには、10年間にわたって毎年25億3,482万8,681本の木、面積にして野球場3万3,000個分の森林を育てる必要がある。EPA参照)
JERAは2035年までこの取扱量を継続する予定である(JERAグループ統合報告書2024, p.24)。
注:燃焼の値は、2006年IPCCガイドラインに示された天然ガスの排出係数56,100kgtCO2/TJ(テラジュール)をLNG1トン当たりに変換したものに基づいている。
(JERAグループ統合報告書2024, p.3)
LNGはJERAの主力燃料であり、同社のポートフォリオにおいて、世界全体では発電設備容量の72.2%、国内では74.7%を占めている(JERAグループ統合報告書2024, p.94-95)。JERAは、LNGは石炭より排出量が少ないと考えているが、この主張に異議を唱える研究もある。
JERAはバングラデシュでどのように化石燃料事業を拡大しているのか?
JERAはバングラデシュにおいて、サミット・パワー社の持分を通じて事業拡大を計画している。JERAは2025年、バングラデシュに事業拠点JERA Bangladeshを開設した。
サミット・パワー社は、提案されているマタバリ・サミットLNG火力発電所とマタバリ・サミットLNGターミナルに出資している。さらに、JERAはマタバリ陸上LNGターミナルに入札しており、バングラデシュでさらに数十億ドル規模のLNG拡大を計画している。
JERAのような企業は高コストのLNGをバングラデシュに押し付け、バングラデシュ経済を輸入燃料の価格変動にさらしている。これらの企業はLNG設備の開発が低炭素への移行に貢献すると主張しているが、現実にはバングラデシュを資金面で束縛し、その一方で排出量の多い発電所の開発で自社の利益を上げている。
Photography by Auvro Alam. Copyright Market Forces.
なぜJERAの排出量が重要な意味を持つのか?
世界的に気温上昇を抑える必要性が認識されている。JERA自身も、炭素排出量削減の必要性を認識し、2050年までに実質ゼロを達成すると約束している。
3℃の気温上昇による壊滅的リスク
- 極端な高温の日数 1.5℃上昇時と比べて50%増加
1.5℃上昇時と比べて1.5倍悪化 - 生物多様性の損失29%
1.5℃上昇時と比べて2.1倍悪化 - 1.4倍
2100年までの海面上昇の進行(1.5℃上昇時との比較) - 現在の政府方針:(9兆2,000億米ドルの損失)現在から2050年までの間
JERA自身のプロジェクトもリスクにさらされる:
JERAは、日本の電力のおよそ30%を供給する発電資産を持つ日本最大の発電会社である。これらの発電所資産の多くは、2050年に年間のはん濫危険水位(annual flood level)より低くなると想定される場所に立地しており、気温上昇の大きいシナリオでは、企業は深刻な適応の課題とコストを抱えることになる。
JERAの排出削減計画:JERAは2035年までにCO2排出量を60%以上削減し、2050年までにネットゼロ排出を達成したいと考えている(JERAグループ統合報告書2024, p.27)。
アンモニアや水素の混焼はアジアの脱炭素化に寄与するか?
JERAは2040年までに非効率な石炭火力発電所を段階的に廃止し、アンモニア混焼に転換する計画だ。
しかし、日本国内の石炭火力発電所12カ所のうち非効率な石炭火力発電を行っているのは碧南火力発電所のみとみられる。
このアンモニア混焼アプローチは、気温上昇を1.5℃に抑えられるだけの排出削減が可能かどうか疑わしい上に、経済的な実現可能性もないなど、問題だらけである。
JERAは愛知県の碧南火力発電所でアンモニア20%と石炭80%の混焼実証試験を行っている。
JERA’s Hekinan Power Station, which is being targeted for ammonia co-firing. Source: Wikimedia Commons
残りの削減についてJERAは、投資家に対し、水素・アンモニアへの燃料転換や二酸化炭素回収・有効利用・貯留技術(CCUS)の利用によって、LNG事業や火力(石炭・ガス)発電所のカーボンニュートラル化が可能であると断言している(JERAグループ統合報告書2024, p.28)。
調査では、水素への転換に際し、LNGのバリューチェーンにあらゆる高排出の工程が組み込まれる場合は特に、ブルー水素製造時の排出量はガスよりも多くなることが明らかになっている。ブルー水素の製造に伴う排出量の削減は、ほぼ全面的にCCUSに依存することになるが、その技術の大規模運用はまだ実証されておらず、排出量を削減するには膨大な生産コストが追加される。
JERAはクリーンエネルギーへの移行を促進するために何ができるか?
ASEAN地域では2030年までに少なくとも年間2,000億ドルのエネルギー投資が必要である(世界経済フォーラム 2025)。
JERAは、クリーンエネルギーへのニーズを満たすため、日本国外で新規にLNGプロジェクトを進める際、その都度再生可能エネルギーの代替案や自社のコミットメントに照らして評価すべきである。
JERAは、問題を悪化させることになるアンモニアや水素ではなく、実行可能な解決策によって、責任あるペースで現在の化石燃料需要を段階的になくしていかなければならない。
JERAは、アジアのエネルギーの未来をより良い方向に導く役割を果たすことができる。
FAQs
1. JERAは本当に再生可能エネルギーへの移行を進めているか?
JERAの主張をよそに、2023年度時点で同社の世界の発電設備容量のうち再生可能エネルギーの割合はわずか3%、日本国内では0.2%にとどまっている。化石燃料が依然としてJERAの発電の97%を占めている。
2. LNGはJERAの事業でどのような役割を果たしているか?
LNGはJERAの主力燃料であり、発電設備容量の70%以上を占めている。同社のLNG取扱量は年間約3,600万トン超で、2035年までこの量を維持する計画だ。
3. なぜJERAがアジアで展開するLNGプロジェクトが物議を醸しているのか?
バングラデシュなどにおけるJERAのLNG拡大は、地元経済の財務リスクと輸入依存度を高める。また、低コストの再生可能エネルギーへの真の移行も遅らせる。
4. 水素やアンモニアの混焼でJERAの排出量を削減できるか?
実際にはできない。現行計画はアンモニア混焼やCCUSなどの技術に頼っているが、こうした技術には経済的・技術的な制約があり、求められる規模で有意義に排出量を削減できない可能性がある。
5. JERAの現行戦略にはどのようなリスクがあるか?
化石燃料を優先することで、JERAはアジアで急成長しているクリーンエネルギー市場を取り逃すリスクがある。特に気温上昇の大きいシナリオでは、そのインフラが気候適応コストの増大に直面する可能性もある。
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